Amazon QuickSight 2022年 アップデートまとめ
いわさです。
この記事は「AWS Analytics Advent Calendar 2022」の 19 日目の記事となります。
2022 年、QuickSight ではたくさんのアップデートがありました。
DevelopersIO でも様々な QuickSight のアップデート記事が投稿されており、QuickSight については 8 割くらいはアップデートを拾えてるのではないかと思っています。(QuickSight Q は除く)
QuickSight は小さなアップデートも多いので、いつの間にか出来なかったあれが出来るようになっている。ということも多いです。
そこで今回は 2022 年のアップデート記事をロールごとに整理しつつ、誰にどういうインパクトのあるアップデートがあったのかをおさらいしたいと思います。
ここでいうロールというのは QuickSight ユーザーへ割り当てする 管理者・作成者・閲覧者の 3 種類を指しています。
READER(閲覧者)向け
まずは閲覧者向けのアップデートから紹介します。
時期 | 記事 |
---|---|
6月 | QuickSightのテーブル/ピボットテーブルで行と列のサイズを利用者がリサイズ出来るようになりました |
7月 | Amazon QuickSight の各ユーザーインターフェースが少しだけアップデートされていることに気づいたので、変更前後を比較してみた |
7月 | QuickSight のダッシュボードでブックマーク機能が使えるようになりました |
分析で表現出来る幅が広がった類いのアップデートは作成者向けのほうで整理しています。
そのため、こうやって整理してみると、閲覧者が知っておくべき影響のあるアップデートはそう多くは無さそうです。
ユーザーインターフェースの刷新
一番大きなところだとサインインエクスペリエンスがガラっと変わったのと、テーマやアイコンなど細かい UI が変わっています。
なので閲覧者視点ではユーザーインターフェースがリニューアルされたなという印象が今年はあったかもしれません。
ブックマーク機能
一応、閲覧者向けの便利な機能がいくつか出ています。
テーブルの行列のサイズ調整は細かいところですが、ブックマーク機能はフィルタとか多様する閲覧者の方だとかなり便利だと思います。
私は閲覧者権限で QuickSight を使って AWS 利用料の分析を行うことが多いのですが、ブックマーク機能がないともう仕事にならないくらい便利です。
アップデートの存在を知らなかった方はこれを機に使ってみてください。
AUTHOR(作成者)向け
こちらは作成者向けのアップデートです。
その多くは分析でより柔軟な表現が出来るようになったりという細かいアップデートが多いですね。
いくつか抜粋します。
分析・ダッシュボードの装飾周り
分析シート上にビジュアルをデータセットのデータを可視化しますが、これまではビュー上で少しだけテキストが入力出来る程度だったタイトルやサブタイトルに様々な形式での入力や装飾が出来るようになっていたり、あるいはビューやダッシュボードを補足するためのデータとは関連しない新しいビジュアルも使えるようになりました。
組み込み関数やビジュアルオプションの追加
またデータを集計・分析するために必要な組み込み関数にも新しいものが追加されていたり、既存のビジュアルでもいくつかのオプションが追加されていたりします。
例えば欠損データの表示方法など細かい点がコントロール出来るようになっていたりします。
組み込み関数のアップデートはいくつか拾えていないものがあったと記憶しています。
おそらくデータ分析を専門にしているこのアドベントカレンダーの皆様から見ると、別の観点で「このアップデートええやん」みたいなのがあると思うのですが、私はそちらの専門ではないのであまり良いコメントが出来ませんでした。どなたかコメント頂けると嬉しいですね。
ADMIN(管理者)向け
管理者向け機能はかなり大型のアップデートが多かった印象です。
まず、これまでは AWS のベストプラクティスを実現しようとしても QuickSight に限っては実現不可だったり妥協しなければいけない項目がありました。例えばセキュリティや監視周りです。
セキュリティ
2022 年のアップデートでは CloudWatch メトリクスがサポートされたり、KMS での暗号化の範囲が広がったり、データストアへの接続時に Secrets Manager が利用出来るようになるなど、AWS の他のサービスとの連携部分がかなり強化されました。
さらに直近の re:Invent 2022 期間中にはダッシュボードや分析をコードで定義出来るようになりました。
これらによって AWS のセキュリティや運用ベストプラクティスを QuickSight にも以前よりも当てはめやすくなっています。
監視
SPICE 使用量は料金に直結していたり、あるいは上限に達して更新に失敗するリスクもあるなど重要なメトリクスだったと思いますが、こちらを監視出来るようになって SPICE の運用がしやすくなりました。
また、描画の遅延などもメトリクスで取得出来るのでユーザーからのレポートより早くパフォーマンスのリスクを検出出来るようになりました。
外部埋め込み
あと、今回整理して気がついたのですがこうやって見てみるとダッシュボードの外部埋め込み系の機能がかなりアップデートされていますね。
ビジュアルだけ埋め込みというのも出来るようになったので、独自の Web アプリケーション内にデータ可視化の機能が必要な場合でも、フロントを何で描画するかなど考えながら作り込みを始めるのではなく、QuickSight へオフロードすることもしやすくなりました。
AWS CLI を使わなくても出来るように
さらにこれまでは AWS CLI を使ってしか管理出来なかったグループやアセットリストなどがコンソール上で管理出来るようになり、AWS CLI を使わずに必要な操作はほぼ実現出来るようになったのではないでしょうか。
さらに新たな機能「Paginated Reports」
re:Invent 2022 では Paginated Reports という新しいアドイン機能で PDF, CSV, Excel など印刷可能なレポート形式で配信出来るようになりました。
料金のインパクトがなかなかありますが、印刷形式でという要望は私も直接聞いたことがあったので需要のある機能なのではと思っています。
こちら実際に使ってみた記事があり、機能の詳細がわかるのでご参照ください。
月額最低 500 ドル必要ですが、最初の月は月末までの日割りになると思うので、年末に触ってみたいと思っています。
さいごに
本日は Amazon QuickSight 2022年 アップデートまとめということで整理してみました。
大きなアップデートは目立ちやすいのですが、細かいアップデートや同じ方向性のアップデートなども多くあり、整理してみると外部埋め込み系の強化が目立つなど気づく点がいくつかありました。
もちろんまだまだこれが出来ないという点はあるかなと思いますが、このアップデート速度や力の入り具合を見る限り、来年も様々なアップデートが展開されもっと使いやすくなるのではないかなと思います。
個人的には、普段様々な AWS サービスを触る立場としては AWS と QuickSight は統合されてるように見えて実際は IAM から SSO 出来るだけで別製品という感じがこれまではしていたのですが、最近では API で操作出来る範囲が増えたり、AWS のベストプラクティスに対応するためのセキュリティ面の機能や監視機能など増えて AWS と QuickSight の隙間が埋まった印象があります。
来年のアップデートも楽しみですね。